インタビューに参加してくれた三人。左からみのる、Kody(コーディー)、春華(しゅんか)

影響を受けた人はいますか?

 

K:YouTubeを見ていた。英語で「カミングアウト」で検索したのを高校1年生の時に見ていた。取り憑かれたかのように何千本と見たと思う。あとボーイフレンドを紹介したり、家族と楽しそうにしている動画を見た。自分は当時オカマだと思ってたから、場所が変わったらこんなに楽しそうで、笑われていないんだということを思った。そこから肯定的に思えるようになった。「あ、オカマじゃないんだな」と思った。

 

春:ネットで検索して、いろんな人のブログを読んだ。どうしたら綺麗になる、とか。

 

み:テレビで性同一性障害のことを知って、親に「自分もコレだと思う」と言ったら、数日後に父が杉山文野さんの『ダブルハッピネス』を買ってきてくれたのでそれを読みました。父は病院をリストアップしてくれたり、埋没の男子生徒生活を手助けしてくれたり、非常に協力的で嬉しかったですね。母は「まだ早い、気のせいじゃないの?」とよく言っていましたが、最終的には自分のやりたいようにやらせてくれました。そういえば中学の時、女子が男子校に入学するという設定の「花ざかりの君たちへ」というドラマを放送していて、それを見た同級生から冗談交じりに「お前も本当は女なんじゃないの?」と言われて、図星で焦った記憶があります。自分のモデルケースになってくれる存在はフィクションの中にしかいないと感じていました。

 

初めて当事者と出会ったのは?

 

K: ずっとオンラインで当事者を見ていた。最初に当事者グループに行ったのは大学1年のとき家から遠くて出会い目的じゃない横須賀のSHIPのイベントに2時間半かけて行った。3年になって友達がダイバーシティクラブを作る、と言い出して、そこで何人かに出会った。スウェーデンに留学したときも当事者がいた。

 

み:フリースクールに行って仲良くなった友達が「性別について考えるのが面倒くさい」と言っていたので、その子だけに自分がトランスだ、ということを伝えた。そのあとは男子として埋没していて近づくとバレてしまう、と思っていたから、逆にコミュニティに近づけなかった。23歳のとき「にじーず」に行って、初めてたくさんいることがわかった。

 

春:小中学校の友達で、それぞれトランスっぽい人がいた。当時お互い男子として過ごしていたから「あれ」と思った。あとは24歳になって東京に出てきて仲間に出会った。

 

これを読んでいる子どもや大人に伝えたいこと

 

み:好きなこと、興味があることは性別を理由に「男の子だからやめよう」「女の子だからやめよう」じゃなくてあきらめないで続けて欲しい。うまく行かないことがあったら自分を変えるより、環境を変えてみて。親はその手伝いをしてほしい。

 

春: 親御さんには「あんまり焦らないであげて」と言いたいかな。私は自分のことに気がつくのは遅かったけれど、悩んだからいろいろ得られたこともあった。子どもは悩むもの。一緒に悩んであげてほしい。自分は親の理解を得るのが難しそうだったから、どうしたら一人だちできるのか考えていた。勉強をしたり、大学で専門をきわめたり、環境を変えるための準備をしていた。

 

k: 子どもには「悩んでいるときって、自分が今見えている友達や家族、親戚が全てだと思ってしまうけど、世界はとても広いよ」って伝えたい。同じ悩みを持っている人もたくさんいる。同じ悩みがあっても、前向きに楽しく暮らしている人もいるよ。自分で努力したり、他の人から助けてもらったりして、今いるところから脱出することはできる。大人は、子どものことを心配したり、愛したりしているからこのホームページをみていると思う。親も悩むかもしれないけれど、子どもが何をやりたいか、どうなりたいかを優先することが子どもの幸せになると思う。

 

みなさん、ありがとうございました!

 

(次ページは小林このみさんへのインタビューです。)