自分の性別を探す旅

性のあり方は十人十色。若者たちに、子ども時代の思い出を話してもらいました!

 

前半は座談会形式でお届けします。インタビューに参加してくれた三人はこちら

後半は小林このみさんへのインタビューです。

みのる

Kody(コーディー)

春華(しゅんか)


まず、皆さんの自己紹介をお願いします!

 春:春華(しゅんか)です。工学関係の研究をしています。31歳です。

 

 K:Kody(こーでぃー)です。26歳です。普段はスタートアップの会社でマーケティングを担当しています。普段はフェミニズムやジェンダーについて考えるフリーマガジンを作っています。

 

み: みのるです。26歳です。フリーランスでイラストレーターをしています。このホームページのロゴも作っています。

 

子どもの頃は、どんな遊びが好きでした?

K:トンボを集めていました。あと、ツチグモってわかりますか?それをゆっくり引き抜くのが好きで、おばあちゃんと一緒にやっていました(笑)一方で、おままごとも好きでした。でも役割としてはペット役を自分から選ぶことが多くて、今考えるとあまり性別を決めつけなくてもいい役を自分で選んでたのかも、とも思える感じ。

 

み:外あそび一択で、鬼ごっこや缶蹴り。いとこの兄弟達と野生児みたいに遊んでいました。女の子っぽい遊びはしなかったかな。

 

 

春:虫は嫌いだったので兄が捕まえてきたら逃げましたね。好きだったのは川遊びとかミニ四駆も好きでした。

 

 友達はどんな人が多かったですか?

春:幼稚園ぐらいまでは女の子と遊んでいることが多かったみたい。小学校で引っ越して、引っ越した先の小学校が男女でグループがわかれていたので、男子とつるんでいることが多かった。仲良しは男子が多かった。

 

み:幼稚園から小学校低学年は男女関係なくみんな一緒に遊んでたんだけど、年齢が上がるにつれ性別で分かれる事が増えて、友人関係に困るようになった。ある時クラスで、男軍団と女軍団に分かれて争うのが流行ったんですが、女軍団に入りたくなかった自分は第三勢力の「怪盗軍団」に入った記憶があります(笑) あとこの時期、一人称ですごく悩みまして。ずっと自分のことは名前で呼んでたんだけど、友達に変だと言われて。でも「私」「あたし」は違和感が強くて。暫くは「うち」で妥協してたんですが、小学校5年生の時に漫画で「ぼく」と言っている女の子キャラを見つけて、「女でもぼくで良いんだ!」って嬉しくなって、それ以降は「ぼく」になりました

 

K:わかる。小学校3〜4年は「うち」と言ってた。そのあと「自分」になったかな。

 

春:迷ってた後に、いっとき「ぼく」を使ってて、大学ぐらいから「わたし」になった。あとは「自分」かな。関西方面だと「自分」は便利。ちょっとややこしいこともある(笑)

 

K:中学までは男子グループだった。遊戯王とかベイブレードとか。高校からは断然女友達が多くなった。年の離れた姉が2人いたし、それが自然体で楽だった。

 

性別についてどう感じてきましたか?居心地が悪かったこと、よかったことは?

 

み:気になったのは小4、小5くらいかな

 

春:私も。小4、小5で二次性徴で声が低くなるのが嫌だった。

 

K:何回かある。最初は小3〜4ぐらいかな。お姉ちゃんが二人いて、おままごととかやってて、声が高くて、細くて白かったから「オカマ」と呼ばれて学校でいじめられてた。当時「オカマ」と呼ばれている人がテレビに出てギャーギャー騒いでいて、その人たちと同じ風に呼ばれて嫌だったのが、性別について考えるきっかけになった。

 

み:小4~5ぐらいから、自分も含め「男らしくない人」「女らしくない人」が攻撃されるようになって、それがすごく嫌でした。一人称「ぼく」は、いじめられる格好の餌食でした。女の子グループからはぶられて、男の子グループにも入れてもらえなくて、居心地悪かったです。女の子達はドラマやアイドルの話で盛り上がっていたけど、自分は漫画やゲームの話がしたかった。中学に入ってからも男っぽい振る舞いが原因でいじめられてしまったので、両親に相談した結果、中2から転校して埋没男子生徒として通うことになりました。男子生徒になってからは友人関係は良好で、居心地も最高でした。

 

春:男子と仲良しだったし、男子グループにいるのは楽だった。違和感があることを表に出してなかったので、ジェンダーのことではいじめられなかったけど、ずっと冬でも半袖だったので、そのことではいじめられることがあった(苦笑)

 

K:高1の最後らへんに、同性愛者かもしれないと思った。そのときも性別についての揺らぎがあった。男として男が好きなのか、女の子になりたいのか、知識がなくて迷った。同性愛者かもしれない、というショックの方が大きくて、そのあと「ゲイです」ってカミングアウトした後に、色々勉強して「ゲイじゃない」と思った。男性として男性が好き、というのがゲイだけど、自分が男性だというのが確証が持てないから、今は「クィアです」って言っている。社会的に作られた男か女かどちらか、という考え方にハマりたくない。クィアという言葉は、昔は英語圏ではバカにされていたけど今は当事者たちが肯定的にプライドを持って使っている、というところもいいなと思っている。だから性別について考えるタイミングはいくつもあった。

 

春:私はトランスジェンダー女性 だけど恋愛対象はずっと女子だった。体が男子で好きになるのが女子なんて「普通」じゃん。二次性徴に対する違和感はあるし、だけど女子が好きなのはなんでだろうってずっと宙ぶらりんだった。体毛や声が低くなるのが嫌だけど、それはよくわからなくて高校、大学と過ごしていた。大学生のとき、男の子を好きになった。大人になってからLGBTの集まりに行ったら、パンセクシュアルという言葉を聞いてピンときた。パンというのは、好きになる人の性別にはこだわらないという意味で、今では自分のことをパンセクシュアルだと思っている。

 

み:今はXジェンダーだと思っている。けどFTMだと思っていた時期も長かった。中学、高校、大学は男子生徒として学校に通っていた。そのうちホルモンや手術するんだと思っていた。大学3年の時、ホルモンなしでの埋没は流石にそろそろ厳しいということで、一歩踏み出す前に、本当に女の子として生きられないのかいろいろ試したり、交流会で色々な人にあった。そしたら、MというよりXなんじゃないかと思うようになった。

 

K:この辺は奥が深いから一生話せそう(笑)

 

2ページ目へ続く)